皆さん、こんにちは。
Up to dateトレーナーの菅原佑馬です。
心身の健康を保ち、疲労を回復させるために、休息をとることは必要不可欠な習慣といえます。
そして、日常生活の経験からも、睡眠が疲労回復にとって非常に重要なことは皆さんもご存知のとおりだと思います。
睡眠は、身体と脳の両方を休ませる代表的かつ重要な休息状態であり疲労回復要素になります。
そんな睡眠と運動の関係について、一回の運動でも得られる急性効果と習慣的効果に分けて、まとめていきます。
運動が睡眠に与える急性効果
運動をした日は、寝つきやすく、眠りも深くなりやすいことは、誰もが経験したことがあることだと思います。
運動が睡眠に与える影響を調べたある研究では、10名の大学生に対して、①午後の運動、②夜間の運動、③運動しないの3つの条件下で睡眠を評価し、午後の運動のみが他の条件に比べてノンレム睡眠(深い睡眠)の増加がみられたことが分かっています。
この研究では、夜間の運動では、ノンレム睡眠の増加がみられていないことから、夜間の運動では、運動の終わりに静的ストレッチを入れるなどして、適度なリラックス状態を入れることが必要になると考えられます。
その他にも、Youngstedtらによる38論文のメタ解析では、運動の急性効果として、総睡眠時間とノンレム睡眠を軽度に増加させ、レム睡眠は軽度に減少させる効果があること、つまり、睡眠の質が軽度に高まることが分かっています。
睡眠前の夜間に実施する運動については、運動強度や運動の種類などによっては、逆に睡眠の質が低下してしまうことが考えられるため、運動をした日は寝つきが悪かったり、眠りが浅いと感じる場合は運動強度や運動の種類を調整すると良いでしょう。
運動が睡眠に与える習慣的効果
長期的に継続された運動が睡眠に与える影響についても研究は行われていますが、おおむね睡眠の質を改善させるという結果が出ています。
Kubitzらによる32論文のメタ解析では、長期的な運動は、総睡眠時間およびノンレム睡眠を増加させ、レム睡眠を減少させるなど、運動の急性効果と同じ効果が得られることが分かっていて、さらに長期的な運動の方が、睡眠に対する影響がより大きいことを報告しています。
血圧や血糖値などへの影響と同じように、運動を行うことによって、一時的にも効果を得ることができ、運動習慣を確立し、習慣化することで、さらに大きな効果を得られることが分かっているということです。
運動習慣を身につけることが、睡眠の質を向上させるだけでなく、心身の健康に非常に大きな効果をもたらします。
運動習慣は、一生モノのとても素晴らしい財産になります。
なかなか一人では、習慣作りは難しいですので、友達と一緒に散歩をしたり、トレーナーと一緒にトレーニングを始めたりすることをお勧めします。
アメリカスポーツ医学会(ACSM)のレポートでは、「一緒に運動する人がいる場合の継続率は80%にのぼる」と報告されています。
人間というのは、具体的な成果を上げることはもちろんですが、続けられたことによって大きな自信をつけることができます。
そして、続けられたこと自体が、さらに長続きするためのモチベーションを高めてくれるでしょう。
続けるためには、まず始めること、行動することが大切になります。
まだ運動習慣がないという人は、心身の健康のために、運動習慣づくりを始めてみてはいかがでしょうか。