皆さん、こんにちは。
Up to dateトレーナーの菅原佑馬です。
スポーツをしたり、ランニングを続けたりすると、様々なスポーツ障害を起こすことがあります。
その被害を最小限に抑えるのに有効なのが、アイシングです。
スポーツ障害予防の万能ワザ、アイシング
アイシングとは文字通り冷やすことをいいます。
日常的な軽い筋肉痛から、足底筋膜炎やシンスプリントといったスポーツ障害まで、応用範囲が広いのが長所です。
打撲、炎症、ねんざ、肉離れといったケガは、温度管理次第で治りが早まったり、逆に長引いたりします。
患部を冷やすべきか、温めるべきか。厳密にいうと状況によりけりですが、迷ったら冷やすことがおすすめです。
なぜなら、アイシングは万能と呼べるほど障害や外傷への適応範囲が広いからです。また、万が一冷やすべきところを温めたときのリスクよりも、温めるべきところを冷やしたときのリスクの方が低いからです。
そして、アイシング最大の効用は、二次的低酸素障害の予防です。
二次的低酸素障害とアイシングの効用
二次的低酸素障害とは、一次的な障害のダメージの後に起こる、二次災害のようなものをいいます。
筋肉や靭帯などの組織に耐えられないような力が加わると、局部的に細胞が破壊されます。
動物の細胞はひとつひとつが細胞膜で包まれていますが、細胞が破壊されると細胞膜が破れてしまい、内部を満たしていた細胞液が周囲に流れ出します。
同時に細胞に酸素を供給している毛細血管が切れるので、内出血も起こります。
流れ出した細胞液や血液は、一次的なダメージを受けていない周囲の細胞にも広がっていきます。
その結果、これらの細胞に血液を運んでいる毛細血管が圧迫されて酸素の供給が滞り、低酸素障害で傷ついていなかった健康な細胞までバタバタと死んでいきます。これが二次的低酸素障害です。
時間が経って死んでしまう細胞が増えるほど、ケガの治りは遅くなります。
アクシデントの直後、腫れる前にアイシングをすると、冷やされた患部の細胞や血管が収縮して、細胞液や血液の流出が最小限に抑えられます。
また、冷やされると周りの細胞の代謝のレベルが低下します。少ない酸素で活動できるようになり、低酸素状態で死ぬ細胞の数を減らす効果もあります。
その他にも、アイシングは神経や筋肉にも働きかけます。冷やすと神経細胞の代謝レベルも低下するため、痛みを感じにくくなります。
また、筋肉は温度が低いほど粘性が上がり、動きにくくなります。アイシングにより患部が不用意に動かないように固定し、安静に保つ効果も期待できるのです。
とにかくケガをしたら1秒でも早くアイシングをすることが大事ということを覚えておきましょう。
アイシングのやり方と適さないケース
アイシングでは、アイスバッグ(スポーツ用の氷嚢)に氷を入れて使うのが一般的です。
スポーツ用のアイスバッグはひだ状の立体構造をしていて、身体のカーブに応じて自在に変形するので、患部に当てやすいのが特徴です。
肉離れなどの重いケガに対する場合は、「2・2・2の法則」でアイシングを行います。
患部を2時間おきに20分ずつ、2日間(48時間)にわたって継続的に冷やし続けるのです。(事前に必ず医師の診断を受けてください)
スポーツやランニングをするたびにこれを行うのは大変ですので、普段は運動後にストレッチをしても疲れや痛みが抜けない部位に、20分ほどアイスバッグを当て続けるだけで十分です。それでも疲れや痛みが軽くならない時は、2時間たってからまた20分間のアイシングを何度か繰り返してみてください。
手元にアイスバッグや氷が用意できない時におすすめなのは、保冷剤です。
ケーキなどをテイクアウトするともらえる保冷剤は簡単に手に入り、何個か冷凍庫にストックしておくと、途切れることなくアイシングが続けられるでしょう。
最後にアイシングが適さないケースについても触れておきます。
こむらがえりのような筋肉がつった状態、である筋肉のけいれんは冷やすと余計ひどくなります。筋けいれんは温める方が正解です。
また、寒冷刺激でじんましんができる人や心疾患を患っている人もアイシングは避けましょう。
このようにケガの種類や身体の状態によっては、アイシングが適さないケースもありますが、迷ったら冷やすことを覚えておくと良いでしょう。