皆さん、こんにちは。
Up to dateトレーナーの菅原佑馬です。
「可動性」と「安定性」という馴染みの薄い言葉ですが、これが理解できると、子どもの運動学習と大人の運動学習のポイントが分かります。
さっそく見ていきましょう。
可動性と安定性を理解する
可動性と安定性の基本概念を理解することは難しくありません。
可動性を理解するために、可動性と柔軟性の違いについて見ていきましょう。
柔軟性とは、筋肉を伸張する能力のことをいいますが、可動性とは、より大きく広い概念で、筋肉だけでなく関節も含まれます。
次に、安定性を理解するために、筋力と安定性の違いについて見ていきましょう。
筋力とは、力や動きを発揮する能力のことをいいますが、安定性とは、力や動きをコントロールする能力を指します。
具体例として、片腕を頭上に上げる動作について考えてみましょう。
まず、腕を頭上に移動させられるだけの可動性が関節と筋になければ、この動作はできません。
次に、肩甲骨周りの筋群が、肩を身体から引き離さずに安定した位置を保たなければならず、それによって肩の筋群が収縮し腕を頭上に上げることができます。
この時に、最初に収縮するのは腕を上げる動作を生む肩の筋群ではなく、肩甲骨周りの筋群が最初に収縮します。まず最初に安定性のための筋肉が収縮し、それに次いで動作のための筋肉が収縮するのです。
このように身体の効率的な動作には、可動性と安定性が共存することが不可欠です。
子どもの運動学習のポイント
子どもの運動学習では、通常、可動性や柔軟性の問題は起きません。
しかし、安定性と筋力は備わっていません。
そのため、子どもは、動きながら試行錯誤と感覚によって、安定性や筋力を発達させます。
身体のある部分を安定させ、他の部分を動かした時、それが合っていれば、思うように身体が動き、間違っていたり、バランス、協調性に失敗したりすれば、思うように身体が動きません。
子どもは思うような結果が得られなかった動きを繰り返さないため、正しい運動学習だけが強化され、ゆっくりと身体のコントロールを学んでいきます。
子どもの場合は、可動性の制限がないので、代償動作が起こることはありません。だからこそ、子どもは試行錯誤によって効率の良い運動プログラムを発達させることができるのです。
このことが、子どもの頃に色々なスポーツや様々な動きを身につけることが適しているといわれる所以です。
大人の運動学習のポイント
青年期の若者や大人が、ある動作パターンやスキルを身につけていくときも、子どもと同じように運動プログラムが作られます。
しかし、子どもの場合と違い、大人の場合は、その時の身体の可動性や安定性が運動プログラムに影響します。
筋や関節の硬さによる可動性の低下、あるいは、筋力、協調性、コントロールの不足による安定性の低下によって、動作に問題がある場合、適切な動作パターンではない間違った動作パターンを作り出してしまいます。
そのため、可動性が低下している場合には、可動性改善のためのトレーニング、安定性の低下が見られる場合には、安定性向上のためのトレーニング、または、両方が低下している場合には、両方のトレーニングを身につけたい運動学習をする前に行う必要があります。
可動性と安定性が不適切なままスポーツやトレーニングを行うと、誤った運動プログラムが作られ、なかなかパフォーマンスが上がらなかったり、傷害の危険性が高まったりしてしまいます。
自己流のトレーニングでは、可動性と安定性が適切なのかどうか、不適切な場合は、どのように可動性と安定性を適切にしていけば良いのかを理解して、実践していくのはとても難しいことでしょう。
適切な可動性と安定性を手に入れた身体は、驚くほど動かしやすく、楽に生活することができます。まずは、ご自身の身体が適切な可動性と安定性があるのかどうか確認してみてはいかがでしょうか。Up to dateのパーソナルトレーニングであなたの身体の現状を知ることができます。気になる方はお問い合わせページよりお気軽にご相談ください。